【scene3-偽りの豚姫!?-】
シェリルの体調は回復し、コンサートも再開された。
情報統制のため先日の秘密会は勿論、
以前の過剰露出コンサートもなかったものとされたかのように
平然と行なわれていた…
「私の歌を聴けぇ~」
「オオオオオオオオッ!」
グレイスもいつも通りプロデュースしているようだ。
シェリルがアレだけの責めにもかかわらず復活したのは
保険として考えれば嬉しい誤算といったところか?
既に、フロンティア中枢を手中に治めたグレイスにとって、もはや
小細工を弄する必要もなくコンサートは至極普通に進行していた。
そう…グレイスの企みが発覚し逮捕されるその時まで…
シェリルが突然怒鳴った。
「いったい何なの?あなた達ライブ中よ。」
軍がいきなり、100人程度の兵で会場に乗り込み占拠、
ステージにも上がりシェリルに銃を向け包囲したのだ。
「なっ何なの?いったいどういう事…」
全く理解できていないシェリルに軍を指揮していた
新統合政府大統領府首席補佐官レオン・三島が言う。
「そこまでです。あなたをスパイ容疑で逮捕します。」
「とぼけても無駄です。調べは付いています。
フォールド波によるバジュラの誘導を先導しフロンティア
占領を企てたスパイめ!」
「スパイ?この私が?」
事実だがグレイスの催眠コントロールで操られていたときの行為で
シェリルには覚えが無いのだ…
「何だ?スパイだ?何言ってんだ?」
「引っ込め~」
「演出か?」
観客も訳も分からず騒ぎ出す。
騒然とする中ソレを打ち消すように三島が続けた。
「静粛に!この女はスパイだ!」
「逮捕拘束する!コンサートは中止!ただちに解散したまえ!
これは演習でも何でもない事実だ!」